「一緒に野球をしよう!」
白壁の美しい旧家に住んでいる幼馴染みのT君の誘いであった。
大分県日田市の城下町豆田の上町通りから中津市へ通じる旧道の
日田街道沿いに佇むその『白壁の美しい旧家』は、
石垣に漆喰の白壁の塀と土蔵が、前を流れる小川に映え、
風情のある景観を保っていることから、
日田市の景観形成建築物に指定されている。
江戸時代の日田は幕府直轄の天領として栄え、
人も物も金も集まる賑わいであった。
掛屋と呼ばれる豪商たちが出現し
ライバルと競い合うように財を成し、書画、骨董品を所有した。
時代の移ろいの中で、それらの名家伝来の品々は
売却あるいは寄贈されて、美術館や資料館等が収蔵し、
また蒐集家や古美術商のコレクションとなった。
少年野球チームに入った。
切磋琢磨する良いライバルの関係であったT君は、
その後、文武両道を優先し進学校へ、
私は甲子園出場を目標に別府市の私立高校へ進んだ。
そこでの新しい仲間との出会いは衝撃的で、
後にメジャーリーガーとなる怪物もその中の一人だった。
競争意識はいつしか成果として現れ、
想定を超えた遥か高みへと押し上げてくれることを学んだ。